“撤(ま)” の例文
それでも嬉(うれ)しそうに、金魚屋の下男にまで、それではまた、と卑(いや)しい愛嬌(あいきょう)を振り撤(ま)きいそいそと立ち去るその小男のうしろ姿を見送ってひとりが
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
看板の宣伝かたがた札びらを切って歓を交し、多勢の女中にも余分の祝儀(しゅうぎ)をばら撤(ま)き、お母さんお母さんと煽(あお)りたてられて、気をよくしているのであったが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
昨日(きのふ)の日暮(ひぐれ)に俺(お)れ野(の)らから歸(けえ)つて來(き)たら爺樣(ぢさま)雞(にはとり)げ餌料(ゑさ)撒(ま)えてやつてつから見(み)たら、米(こめ)交(ま)ぜて置(お)いた食稻(けしね)の方(ほう)掻(か)ん出(だ)して撤(ま)いてんぢやねえけ、夫(それ)から俺(お)らもそれ遣(や)つたんぢや畢(をへ)ねつちつたな
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その類型の幻像を天下に撤(ま)き広げ、あたかも世界じゅうがその類型で満ち満ちているかのごとき錯覚を起こさせ、そうすることによって、さらにその類型の伝播(でんぱ)をますます助長するのである。
ジャーナリズム雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
海峡に灰を撤(ま)きたる星ぐもり我を載せたる船流れ行(ゆ)く
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
十分のお世辞をふり撤(ま)いていた。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)