振落ふりおと)” の例文
何か焚火でもする材料は無いかと、お葉は急に我がたもとを探ると、重太郎にろうと思って折角せっかく持って来た燐寸まっちは、何時いつの間にか振落ふりおとしてしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まず言う「汝生まれし日より以来このかたあしたに向いて命を下せし事ありや、また黎明よあけにその所を知らしめこれをして地のふちとらえて悪き者を地の上より振落ふりおとさしめたりしや」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
泣出したもんだから、横抱よこだきにして飛んで帰ったがね。私は何だか顔はあかし、天狗てんぐにさらわれて行ったような気がした。袂に入れた桃の実は途中で振落ふりおとして一つもない。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それが氣懸きがゝりゆゑ、おれゃもうけっしてこのやみやかたはなれぬ。そなた侍女こしもと蛆共うじどもと一しょにおれ永久いつまで此處こゝにゐよう。おゝ、いまこゝで永劫安處えいがふあんじょはふさだめ、憂世うきよてたこの肉體からだから薄運ふしあはせくびき振落ふりおとさう。