挙動そぶり)” の例文
旧字:擧動
んびりした顔をならべた百姓たちは、ただ彼の叫びに、うろたえの眼と、怖々おどおどした挙動そぶりをすこし見せたばかりで、手をこまねいているのだった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
挙動そぶり言語ことばが変って来まする。これをシコタマ掴んだお医者に。せてしまえばこっちのものだよ。静養させるは表面うわべの口実。花のつぼみが開かぬまんまに。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
言葉は無くても真情まことは見ゆる十兵衞が挙動そぶりに源太は悦び、春風みづを渡つて霞日に蒸すともいふべき温和の景色を面にあらはし、尚もやさしき語気円暢なだらか
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その夜お滝は非常に穏かで怪しい挙動そぶりもせずに寝た。新三郎も老婆も祈祷のお陰であると思って悦んだ。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、兄との恋を自ら捨てた女友ともが、今となつて何故なぜ那麽あんな未練気のある挙動そぶりをするだらう。否、清子は自ら恥ぢてるのだ、其為に臆すのだ、と許り考へてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
とは云うものの心持はいまだ事実でない。事実から出た心持で無ければウカとは信をき難い。依て今までのお勢の挙動そぶり憶出おもいいだして熟思審察して見るに、さらにそんな気色けしきは見えない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何か怪しからん挙動そぶりがなければ、そりゃア男の方から無闇に主有る女のとこへ這入って来るものではありません……じゃが仮令たとえ婦人の方で此方こっちへ来いと招いても、主ある者と席をともにすると云うのは
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前を疑う様な挙動そぶりがあったというのは彼奴あいつか。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
言葉はなくても真情まことは見ゆる十兵衛が挙動そぶりに源太は悦び、春風みずを渡ってかすみ日に蒸すともいうべき温和の景色を面にあらわし、なおもやさしき語気円暢なだらか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それだけ松子の思慮の浅く見える物言ひや、子供らしく口をいて笑つたりする挙動そぶりが、彼には埃だらけな日蔭のやうに沈んでゐる職員室の空気を明くしてゐるやうに思はれた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
観菊行きくみゆきの時同感せぬお勢の心を疑ッたにもかかわらず、その夜帰宅してからのお勢の挙動そぶりを怪んだのにも拘らず、また昨日きのうの高笑い昨夜ゆうべのしだらを今もって面白からず思ッているにも拘らず
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
唐桟たうざん揃ひの淡泊あつさりづくりに住吉張の銀煙管おとなしきは、職人らしき侠気きほひの風の言語ものいひ挙動そぶりに見えながら毫末すこし下卑げびぬ上品だち、いづれ親方〻〻と多くのものに立らるゝ棟梁株とは
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
よく物を言ふ眼が間断ひまなく働いて、ほどけばに余る程の髪は漆黒くろい。天賦うまれつきか職業柄か、時には二十八といふ齢に似合はぬ若々しい挙動そぶりも見せる。一つにはだ子を有たぬ為でもあらう。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
がこの頃の挙動そぶりと云い容子ようすと云い、ヒョッとしたら本田に……何してはいないかしらん……チョッ関わん、若しそうならばモウそれまでの事だ。ナニおれだッて男子だ、心渝こころがわりのした者に未練は残らん。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
唐桟揃とうざんぞろいの淡泊あっさりづくりに住吉張りの銀煙管おとなしきは、職人らしき侠気きおいの風の言語ものいい挙動そぶりに見えながら毫末すこしも下卑ぬ上品だち、いずれ親方親方と多くのものに立てらるる棟梁株とうりょうかぶとは
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)