でき)” の例文
其川の中には珠のやうな小磧こいしやら銀のやうな砂でできて居る美しい洲のあつたれば、長者は興に乗じて一尋ばかりの流を無造作に飛び越え、彼方此方を見廻せば
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
をかし行かれしとて思ふ如き鳥もかゝるまじまづ今日はやめに致し玉へ手柄は何時でもできる事と押止おしとゞめけれど思ひこみたる左京は更に聞き入れず思立しが吉日なり是非とも參りたしとたつての懇望こんまうなれば然程さほどに思はれなば兎も角もと手下の小賊せうぞく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
万が一にも仕損じてはお上人様源太親方に十兵衞の顔が向られうか、これ、生きても塔ができねばな、此十兵衞は死んだ同然、死んでも業を仕遂げればうぬおやぢは生て居るはい
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
親方様が彼程に彼方此方のためを計つて、見るかげもない此方連このはうづれ、云はゞ一足に蹴落して御仕舞ひなさるゝことも為さらばできる此方連に、大抵ではない御情をかけて下され
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)