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意嚮
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いこう
ふりがな文庫
“
意嚮
(
いこう
)” の例文
単純素朴で古風な民謡のにおいのする歌である。「船はとどめむ」はただの
意嚮
(
いこう
)
でなく感慨が籠っていてそこで一たび休止している。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
東京に
移牒
(
いちょう
)
する
意嚮
(
いこう
)
らしかったのですから、彼女の死に関する真相も遠からずハッキリして来る事と思いますが、それよりも先に小生は
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして養父から、善く働く作を自分の婿に
択
(
えら
)
ぼうとしているらしい
意嚮
(
いこう
)
を
洩
(
もら
)
されたときに、彼女は体が
竦
(
すく
)
むほど
厭
(
いや
)
な気持がした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
が、彼等は彼等自身のために、彼の
意嚮
(
いこう
)
には頓着なく、ほとんど何事にも
軋轢
(
あつれき
)
し合った。そこには何か宿命的な、必然の力も動いていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
義昌
(
よしまさ
)
、
他
(
ほか
)
お身内の
意嚮
(
いこう
)
、たしかに信長承知はいたしたが、然るべき
人質
(
ひとじち
)
など、安土へ送り来ぬうちは、否とも応とも、即答いたし難い」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
親類に相談する必要もない、後から断ればそれで沢山だといいました。本人の
意嚮
(
いこう
)
さえたしかめるに及ばないと明言しました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
奉天にある日本軍の
意嚮
(
いこう
)
を計り兼ねて、錦州方面に踏み留まり、奉天に帰ろうとせず、形勢を観望していたので、奉天では、袁金凱を首長として
私が張作霖を殺した
(新字新仮名)
/
河本大作
(著)
ガラッ八は早くもその
意嚮
(
いこう
)
を察すると、よく馴れた猟犬のように素早く座をはずして、どこかへ行ってしまったのです。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その後の節子からの手紙で父はしきりに台湾の伯父さんの上京を促しているということなどを
綜
(
あつ
)
め合せて見ると、そこに岸本は義雄兄の
意嚮
(
いこう
)
を読んだ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
所謂躍進日本の他の一面としての文化紹介を欲する政府当局の
意嚮
(
いこう
)
などが、外務省文化事業部へ反響して、先ず国際文化振興会が半官的な組織で成立し
今日の文学の展望
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ゆき子は十日程前に当市の市参事会員
橋本
(
はしもと
)
氏の紹介で、現在勅選議員で羽振の利く
森本庄右衛門
(
もりもとしょうえもん
)
の次男から結婚の申込を受けた、善兵衛からゆき子の
意嚮
(
いこう
)
を聞くと
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
京子は不安らしく新一の顔を眺め、その目を望月少佐に移して、少佐の
意嚮
(
いこう
)
を確めようとした。新一の突飛な言動を、発熱による
譫言
(
うわごと
)
ではないかと疑ったのである。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
出版圏内の限られたことと、この際、衆俗の
意嚮
(
いこう
)
と趣味を無視することのできない資本主義から、ます/\作品の商品化をよぎなくするものがあるのを考えるからである。
正に芸術の試煉期
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「それとてよくはござらぬな。しかし、大勢というものは、多数の
意嚮
(
いこう
)
に帰するものでござる。天下は一人の天下ではなく、即ち天下の天下でござる、いや、帝の天下でござる」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
両者の
意嚮
(
いこう
)
の間には、あまりにもひどい
懸隔
(
けんかく
)
があるので、母は
狼狽
(
ろうばい
)
した。チベットは、いかになんでも唐突すぎる。母はまず勝治に、その無思慮な希望を放棄してくれるように歎願した。
花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
法律の理論上主権の何人に在りやということは
措
(
お
)
いてこれを問わず、ただその主権を行用するに当って、主権者は
須
(
すべか
)
らく一般民衆の利福並びに
意嚮
(
いこう
)
を重んずるを方針とす可しという主義である。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
私は本より論壇の上にこそ紅葉と対敵したが、先方はどうあろうと私交上ではやはり親友のツモリでいたから、胸襟を開いて黒岩の
意嚮
(
いこう
)
を話し、紅葉一身の利害のために黒岩との提携を勧説した。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
他の者の
意嚮
(
いこう
)
を
顧眄
(
こべん
)
しなければならない。それは今の自分のもはや堪え得るところではない。自分は自分のみに完成し、飽和する生活を建てたい。それこそ真に確実にして、安定せる生活である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その上で、
断乎
(
だんこ
)
たる処分に出ようとする
意嚮
(
いこう
)
をほのめかした。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お君の
意嚮
(
いこう
)
を
訊
(
き
)
くと
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
益々その範囲を拡大するという風評と図書課長談として同様の
意嚮
(
いこう
)
の洩されたことは、事実指名をされなかった窪川夫妻などの執筆場面をも封鎖した結果になっている。
一九三七年十二月二十七日の警保局図書課のジャーナリストとの懇談会の結果
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼は早朝から、総支配人の角田を呼び出して、この様な
意嚮
(
いこう
)
を伝えました。そして、即日、角田と二三の小者を従えて、県下一円に散在する、彼の領地へと旅立つのでした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
然し、それまで領土にとどまって居れという千坂兵部の
意嚮
(
いこう
)
はほぼ推察がつかないでもない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
友人がお銀のことについて、笹村の
意嚮
(
いこう
)
を確かめに来たのは、そんな騒ぎがあってから間もなくであった。それまでに二人はたびたび顔を合わして、そのことを話し合っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
就
(
つい
)
ては目下、当港(神戸)に停泊中の病院船、十字丸、三千二百噸の機関長の補充として御乗船願いたいが、御
意嚮
(
いこう
)
は
如何
(
いかが
)
でしょうか。月給、百何十円。
云々
(
うんぬん
)
……という孫悟空みたいな話だ。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
遙々
(
はるばる
)
と辺土の防備に行く自分は、その似顔絵を見ながら思出したいのだ、というので、歌は平凡だが、「我が妻も画にかきとらむ」という
意嚮
(
いこう
)
が珍らしくもあり、人間自然の意嚮でもあろうから
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その日も一応電話をかけて、庸三の
意嚮
(
いこう
)
を確かめてからやって来たのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
また、伯耆守は、幕廷の
意嚮
(
いこう
)
をうけて、間もなく自邸に引っ返した。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「啓さんも、あっちへの手紙にそんな
意嚮
(
いこう
)
を洩しているらしいよ」
築地河岸
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
友達などにもその
意嚮
(
いこう
)
を漏らしていた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
親たちの
意嚮
(
いこう
)
をも確かめるために、桂庵が請地の
家
(
うち
)
を訪れ、暮の
餅
(
もち
)
にも事欠いていた親たちに、さっそく手附として百円だけ渡し、正月を控えていることなので、七草過ぎにでもなったら
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と、小次郎の身を自宅で世話をしたいらしい
意嚮
(
いこう
)
を漏らすと
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お作はとにかくに
衆
(
みんな
)
の
意嚮
(
いこう
)
がそうであるらしく思われた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「して、秀吉の
意嚮
(
いこう
)
は?」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて二人はほぼ笹村の
意嚮
(
いこう
)
をも確かめて帰って行った。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
寄手の
意嚮
(
いこう
)
は如何に。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“意嚮”の意味
《名詞》
意 嚮(いこう 「意向」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
どうしたいかについての考え。
(出典:Wiktionary)
意
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
嚮
漢検1級
部首:⼝
19画
“意”で始まる語句
意
意気地
意味
意外
意地
意見
意識
意久地
意氣
意地悪