御持參ごぢさん)” の例文
『これ、武村兵曹たけむらへいそう足下おまへはなか/\薩摩琵琶さつまびはうまさうな、一曲いつきよくやらんか、やる! よした。』とかたはら水兵すいへいめいじて、自分じぶんかね御持參ごぢさん琵琶びは取寄とりよせた。
……これはそのまゝ、いま頂戴ちやうだいつてる。……ふろ敷包しきづつみ御持參ごぢさんで、「つくゑしな。」とおえにつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なされ請人うけにんとも御三人御印形ごいんぎやう御持參ごぢさんあるべしと申ければ庄三郎大いによろこ立歸たちかへりてお常忠八に長兵衞が申せしとほはなしけるにお常はこれきゝそれは長兵衞事此地面このぢめん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
主個の老人らうじん押禁おしとゞめ彌生と言ど未だ寒きに冷酒れいしゆ身體からだどくなればツイあたゝめて差上んと娘に吩咐いひつけ温めさせ料理は御持參ごぢさんなされたれば此方で馳走ちそう爲樣しやうもなし責て新漬しんづけ香物かうのものなりともと言へば娘は心得こゝろえて出して與ふる饗應振もてなしぶり此方は主個に酒盞さかづき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)