“引断”のいろいろな読み方と例文
旧字:引斷
読み方割合
ひっき33.3%
ひっちぎ33.3%
ひきき8.3%
ひきちぎ8.3%
ひっきり8.3%
ひっち8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
片頬かたほに触れた柳の葉先を、お品はそのつややかに黒い前歯でくわえて、くようにして引断ひっきった。青い葉を、カチカチと二ツばかりんで手に取って、てのひらに載せて見た。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
振放すはずみ引断ひっちぎった煙草入、其の儘土手下へ転がり落ちた、こりゃたまらぬと草へつかまってあがって見たら、何時いつの間にか曲者は跡をくらましてしまう。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ヒイッと悲鳴で仰向あおむけに土間に転がり落ちると、その下になって、ぐしゃりと圧拉ひしゃげたように、膝をの上へ立てて、うごめいた頤髯あごひげのある立派な紳士は、附元つけもとから引断ひききれて片足ない
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吹来ふききたり、吹去る風は大浪おほなみの寄せては返す如く絶間無くとどろきて、そのはげしきは柱などをひちひちと鳴揺なりゆるがし、物打倒すひしめき、引断ひきちぎる音、圧折へしおる響は此処彼処ここかしこに聞えて、唯居るさへにきもひやされぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それでも安お召などを引張った芸者や、古着か何かの友禅縮緬ゆうぜんちりめん衣裳いしょうを来て、まだらに白粉おしろいをぬった半玉はんぎょくなどが、引断ひっきりなしに、部屋を出たり入ったりした。鼓や太鼓の音がのべつ陽気に聞えた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「何だか知らんが、さんざ汚れて引断ひっちぎれているじゃないか。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)