実家じつか)” の例文
旧字:實家
あに一人ひとりあつたが戦地せんちおくられるともなく病気びやうきたふれ、ちゝ空襲くうしふとき焼死せうしして一全滅ぜんめつした始末しまつに、道子みちこ松戸まつど田舎ゐなか農業のうげふをしてゐる母親はゝおや実家じつかはゝともにつれられてつたが
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
エモンを字のごとくイモンと読んできぬけたもん心得こゝろえ小説家せうせつかがあつたさうだが、あるわか御新造ごしんぞう羽織はをり幾枚いくまいこしらへても、実家じつかもんを附けるのを隣の老婢ばあやあやしんでたづねると
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
ころは自分も矢張やはり若くて美しくて、女にすかれて、道楽して、とう/\実家じつか七生しちしやうまで勘当かんだうされてしまつたが、今になつてはころの事はどうしても事実ではなくて夢としか思はれない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
御新造ごしんぞ実家じつか葭町よしちやうはゞのきく芸者家げいしややであつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)