ばア)” の例文
ばアさんの肩へ手をかけて揺ぶりながら耳に口をつけて呼んで見たが、返事はなく、手を放せばたわいなく倒れてしまふらしい。
買出し (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これから半町ばかり跡へけえると寮が有りやすが、其の寮へ往っておとまんなんしよ、ばアさまが一人居て、困る人はみな其処そけえ往って泊りやんすよ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
六十のおばアさんまでが牛に牽かれて善光寺詣りで娘と一緒にダンスの稽古に出掛け、おさんどんまでが夜業よなべ雑巾刺ぞうきんさしめにして坊ちゃんやお嬢さんを先生に「イット、イズ、エ、ドッグ」を初めた。
ばアさんの肩へ手をかけてゆすぶりながら耳に口をつけて呼んで見たが、返事はなく、手を放せばたわいなく倒れてしまうらしい。
買出し (新字新仮名) / 永井荷風(著)
奉公に遣った所が、職人の事だから道楽ぶちゃアがって、うして横根を踏出しやアがって、ばアさま小遣を貸せと云うから、小遣は無いと云うと
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
源「今日は帰ります、ばアさん又彼方あっちへ来たらお寄り、だが、私が此処こゝへ来たことは家内へ知れると悪いから、店へは寄らん方がい、店には奉公人もいるから」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女もその年頃のものが多く、汚れた古手拭の頬冠り、つぎはぎのモンペに足袋はだしもある。中には能くあんな重いものが背負へると思はれるやうな皺だらけのばアさんも交つてゐた。
買出し (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ちやんと麦酒ビール看板かんばんだね、西洋酒せいやうしゆのビラがさがつてる所が不思議ふしぎだね、ばアさんはなんですか。民
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これから見ると富藏とみぞうばアさんなぞは五十八で身体が利かねえって、ヨボ/\して時々もらしますから、の人の事を思えば達者だ……是は汚いが茶碗は清潔きれいなのと取換えておくれよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
作「はアうごぜえやす、ばアさま、旦那さま烟草買ってくんろと仰しゃるから買って来て上げなよ、此の旦那はいゝんでなけりゃア気に入るめえ、唯の方ではねえ安田一角先生てえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ばアさまの云うにア、それはえがおかしいじゃアなえか、何ういう理由わけか知んねえ、毒な虫をって六百文貰ってえかえ、なに構ア事はなえが、黒い羽織を着て、立派なア人が来るです
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こはらしくないばアさんだね、新宿しんじゆくばアさんとは大違おほちがひだ。婆「何処どこ貴方あなたじつ立派りつぱりましたよ。岩「向うのかすかに遠いところに赤い煉瓦れんぐわがある、あれはなんだえ。婆「陸軍省りくぐんせうでございます。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬「ばアさま、お茶ア一杯いっぺえくんねえ、今の、お客を一人新高野しんこうやまでのっけて来た」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
源「これ/\大きな声をするな、れは毒のを取って膏薬をこしらえるんだ、わしは前に薬種屋きぐすりやだと云ったが、昨日きのうばアさんに会った、隠し事は出来ねえもんだ、これは口止めだよ、少しばかりだが」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
作「三藏かえ、あれはねばアさまが死んだから其の白骨を本当の紀州の高野へ納めに往くって、祠堂金しどうきんも沢山持ってる様子だ、お累さんもあゝいう死様しにようをしたのも矢張やっぱりめえら二人でした様なものだぜ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
主「さア/\お上りなさいまし……おい、ばアさん、お茶を持って」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは脱衣婆だつえばアさんなんで。岩「ア、アー、三途川さんづのかはばアさんかえ。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)