あねえ)” の例文
三味線を——その頃腕達者なはげしいあねえは、客の前で弾切ひききると糸を掛けてるうちも間が抜けるといって、伊達だてに換え三味線を持ったので——四張。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたくしがお附き申しては居りますが、そんならって御姉妹ごきょうだいでありますので、うちの方の極りが着けば何うでも斯うでも此方様こなたさまはおあねえさまの事ですから、極りが着こうと思って
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
つきましてはひとりのおあねえ様を唯今のようなお姿にして置くことはなりませぬ。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そっちのあねえは話せそうだな。うんや、やっぱりお座敷ござなくづらだ。変な面だな。はははは、トおっしゃる方が、あんまり変でもねえ面でもねえ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山男に生捕られて、ついにそのはらむものあり、昏迷こんめいして里にでずと云う。かくのごときは根子立ねこだちあねえのみ。
遠野の奇聞 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われらはげしき大都会だいとくわい色彩しきさいながむるもの、奥州辺おうしうへん物語ものがたりみ、婦人ふじん想像さうざうするに、大方おほかた安達あだちはら婆々ばゞおもひ、もつぺ穿きたるあねえをおもひ、こんふんどし媽々かゝあをおもふ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われらこのはげしき大都会の色彩をながむるもの、奥州辺の物語を読み、その地の婦人を想像するに、大方は安達あだちヶ原の婆々ばばあを想い、もっぺ穿きたるあねえをおもい、紺のふんどし媽々かかあをおもう。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
パッパッと田舎の親仁おやじが、てのひらへ吸殻を転がして、煙管きせるにズーズーとやにの音。くく、とどこかで鳩の声。あかねあねえも三四人、鬱金うこん婆様ばさまに、菜畠なばたけ阿媽かかあまじって、どれも口を開けていた。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)