好都合こうつごう)” の例文
「なるほど、では、そうなさるほうがいいでしょう。ぼくも話し相手ができて好都合こうつごうです。絵画論でもたたかわしましょうかね。」
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼は看護婦の口から夫人の名前をいた時、この異人種いじんしゅに近い二人が、狭いへや鉢合はちあわせをしずにすんだ好都合こうつごうを、何より先にまず祝福した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
このさい竿雜巾さをぞうきん竿さをさき濕雜巾ぬれざふきん結付むすびつけたもの)の用意よういがあると、もつと好都合こうつごうである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ただ支那と云う国籍だけはほとんど有無うむわれないだけに、すこぶ好都合こうつごうに出来上っている。君はまだ高等学校にいた時、僕に「さまよえる猶太ユダヤ人」と云う渾名あだなをつけたのを覚えているであろう。
第四の夫から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ただそのさいなにより好都合こうつごうであったのは、ひめ父君ちちぎみめずらしく国元くにもとかえってられたことで、御自身ごじしん采配さいはいって家人がじん指図さしずし、心限こころかぎりの歓待もてなしをされために、すこしの手落ておちもなかったそうでございます。
お延が津田へ片づくや否や、すぐそのあとへ入る事のできた彼女は、従姉いとこのいなくなったのを、自分にとって大変な好都合こうつごうのように喜こんだ。お延はそれを知ってるので、わざと言葉をかけた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
甲板上かんぱんじようから望見ぼうけんするにはすこぶ好都合こうつごうである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
主筆 そうして頂ければ好都合こうつごうです。
或恋愛小説 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)