大円髷おおまるまげ)” の例文
膝で豆算盤まめそろばん五寸ぐらいなのを、ぱちぱちと鳴らしながら、結立ゆいたての大円髷おおまるまげ、水の垂りそうな、赤い手絡てがらの、容色きりょうもまんざらでない女房を引附けているのがある。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
社務所と別な住居すまいから、よちよち、いしきを横に振って、ふとった色白な大円髷おおまるまげが、夢中でけて来て、一子の水垢離みずごりを留めようとして、身をたてはやるのを、仰向あおむけに、ドンと蹴倒けたおいて
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
現に私の頭の上には、緋手絡ひてがら大円髷おおまるまげ押被おしかぶさって、この奥さんもそろそろ中腰になって、坐睡いねむりをはじめたのです。こくりこくりと遣るのに耳へも頬へもばらばらとおくれ毛がかかって来る。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……細君は、あから顔、横ぶとりの肩の広い大円髷おおまるまげめじりが下って、あぶらぎったほおへ、こう……いつでもばらばらとおくれ毛を下げていた。下婢おさんから成上ったとも言うし、めかけを直したのだとも云う。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)