回向院ゑかうゐん)” の例文
今日こんにち回向院ゑかうゐんはバラツクである。如何いかきんもんを打つた亜鉛葺トタンぶきの屋根はつてゐても、硝子ガラス戸を立てた本堂はバラツクと云ふほかに仕かたはない。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
搜索さがし出して修羅しゆら靈魂みたまなぐさめん南無阿彌陀佛/\とくびいだきしめしばらく涙にれ居たり夫より回向院ゑかうゐんの下屋敷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これを例するに浅野あさのセメント会社の工場と新大橋しんおほはしむかうに残る古い火見櫓ひのみやぐらの如き、或は浅草蔵前あさくさくらまへの電燈会社と駒形堂こまがただうの如き、国技館こくぎかん回向院ゑかうゐんの如き、或は橋場はしば瓦斯がすタンクと真崎稲荷まつさきいなりの老樹の如き
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
日が暮れると、平次の遺骸を板圍いたがこひの中から運び出し戸板にせて、回向院ゑかうゐんに移しました。江戸中の名ある御用聞手先が二三十人、笹野新三郎と一緒に、それにしたがつたことは言ふ迄もありません。
僕等は回向院ゑかうゐんの表門を出、これもバラツクになつた坊主ばうず軍鶏しやもを見ながら、ひとの橋へ歩いて行つた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
国技館のとなりに回向院ゑかうゐんのあることは大抵たいてい誰でも知つてゐるであらう。所謂いはゆる本場所の相撲すまふまた国技館の出来ない前には回向院ゑかうゐん境内けいだい蓆張むしろばりの小屋をかけてゐたものである。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)