うま)” の例文
十日にはうまい魚を買ひ溜めて待ち設けてゐたのに、榮一は歸つて來なかつた。「もう四五日遊んで歸る。」と、大阪の市街まちを寫した繪端書を寄越した。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
黒崎というところから出た名代なだい女夫饅頭めおとまんじゅう、「黒崎といへども白き肌と肌、合せてうまい女夫まんぢゆう」
どうしても豚の元祖は支那だから豚の種類も食用に適しているし料理方りょうりかたも豚は支那風のが一番うまいね
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
孤子也みなしごなりとていつくしみうまき食物などの有ば常に殘し置てつかはしなどしける此日師匠の用事にて來りけるをりから冬の事にて婆は圍爐裡ゐろりあたりゐけるが寶澤の來るを見て有あふ菓子などを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
川の瀬も澄んで鮎屋が昨日もつて来ての話では、もう下流でないとゐないと言ひ、このあたりにゐるのは若若しく寂びてゐないからうまさは味いが、かぞへる程しかゐないと言つた。
故郷を辞す (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
かけコレ/\町人其方は大分だいぶんさけが飮る樣子なりといふに彼男は此方こなたに向ひイヤモウ酒は大好物だいかうぶつで御座りますと云ひければ半四郎夫は話せる/\其の酒飮はそれがし大好だいすきなり酒は一人で飮ではうまくなし一ぱいあひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)