南京米ナンキンまい)” の例文
南京米ナンキンまい支那米しなまいといえば日本の三等米以下と相場がきまっているが、お寺もういう関係だろうと思っていたら、崇福寺そうふくじはナカ/\立派だった。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
自分もさっそく堕落の稽古けいこを始めた。南京米ナンキンまいも食った。南京虫ナンキンむしにも食われた。町からは毎日毎日ポンびき椋鳥むくどりを引張って来る。子供も毎日連れられてくる。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「うむさうだなあ」と勘次かんじ南京米ナンキンまいふくろこめを五しようばかり、もうせてたわらからはかした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「何だい、めっぽう重そうなものをかついで来たね、南京米ナンキンまいじゃあるまいな」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
俥上しゃじょうから捨てる葉巻の吸いかけを見ると、きっと、パンへ飛びつく痩せ犬のように、頭から南京米ナンキンまいの麻袋をかぶっている男が、とびのようにあらわれて、さらい取るように、自分の口へ横にくわえた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
考えている途中でいつか寝たものと見えて、眼がめた時は、何にも考えていなかった。それからあとは、のそのそ下へ降りて行って、顔を洗って、南京米ナンキンまいを食う。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あの中に南京米ナンキンまいいたのがいっぱい詰ってるのかと思ったら、——何しろ自分が三度三度一箇月食っても食い切れないほどの南京米なんだから、食わない前からうんざりしちまった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)