勘藏かんざう)” の例文
新字:勘蔵
いやはなしませぬはなされませぬおまへさまころしては旦那だんなさまへみませぬといふはまさしく勘藏かんざうか、とおたかことばをはらぬうちやみにきらめく白刄しらは電光いなづまアツと一聲ひとこゑ一刹那いつせつなはかなくれぬ連理れんり片枝かたえは。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
父樣とつさまにも勘藏かんざうにも乳母ばあやにはべつしてのこといろ/\と苦勞くらうをかけまして今更いまさらおもへばはづかしいやらおどくやら幼心をさなごゝろのあとさきずにほどのない無分別むふんべつさりながらきぬいのちかやことたすかりしを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此儘このまゝすぐにとそこ/\身仕度みじたくして庭口にはぐちでんとする途端とたんぢやうさま今日けふもおかけか何處どこへぞと勘藏かんざうがぎろ/\おそろしけれどおくしてなるまじとわざとつくる笑顏ゑがほあいらしく今日けふもとは勘藏かんざうひどいぞや今日けふはとはねばてにを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)