勘定書かんじょうがき)” の例文
そこへ十八九に見える姿の好い女給が勘定書かんじょうがきを持って来た。彼はインバの兜衣かくしから蟇口がまぐちを出してその金を払うとともにすぐ腰をあげた。
青い紐 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
五月四日の午前に迫って彼は役所から帰って来ると、彼女は一攫みの勘定書かんじょうがきを彼の鼻先に突きつけた。これは今までにないことである。
端午節 (新字新仮名) / 魯迅(著)
おかみさんはうしろ姿すがたどくづきながら、ちょっと考えて、勘定書かんじょうがきをひょいとぼんの上にのせ、きゃくのへやにはいっていった。
宗右衛門町のあるお茶屋では、一ケ月千円以上の支払あるお客への勘定書かんじょうがきには旦那だんなの頭へ御の一字をつけ足して何某御旦那様と書く事になっている。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
ひとかれあざむいたり、あるいへつらったり、あるい不正ふせい勘定書かんじょうがき署名しょめいをすることをねがいでもされると、かれえびのように真赤まっかになってひたすらに自分じぶんわるいことをかんじはする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
中村の脱ぎ捨てた仕事着のポケットの中からは時々、小料理屋の勘定書かんじょうがきや請求書などが出てきた。そのくせ彼は、台所の入費にゅうひを節約しろの、すみの使い方があらいだのと母に小言こごとを言っているのだった。
宗右衛門町のあるお茶屋では、一ケ月千円以上の支払あるお客への勘定書かんじょうがきには旦那だんなの頭へ御の一字をつけ足して何某御旦那様と書く事になっている。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
「ふれんでもらいたいね。この麦わらであなたにひどくめいわくがかかるというのなら、その分だけかねをとってくれたまえ。えんりょなしに勘定書かんじょうがきにつけておいてくれればいいよ」
が、やはり勘定書かんじょうがきには署名しょめいをしてるとうようなたち
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)