出雲路いづもぢ)” の例文
なほこゝろざ出雲路いづもぢを、其日そのひ松江まつえまでくつもりの汽車きしやには、まだ時間じかんがある。わたしは、もう一度いちど宿やどた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
時雨しぐれの渡つた夜、男は姫君と酒をみながら、丹波の国にあつたと云ふ、気味の悪い話をした。出雲路いづもぢへ下る旅人が大江山の麓に宿を借りた。宿の妻は丁度その夜、無事に女の子を産み落した。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
じつ一昨年いつさくねん出雲路いづもぢたびには、仔細しさいあつて大阪朝日新聞おほさかあさひしんぶん學藝部がくげいぶ春山氏はるやまし大屋臺おほやたい後見こうけんについてた。此方こつちだまつて、特等とくとう、とあるのをポンとゆびのさきですと、番頭ばんとう四五尺しごしやくする/\とさがつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)