出花でばな)” の例文
引込ひつこませる、とみづ出花でばなふのでもおきみはさすがに武家ぶけ女房にようばう仲間ちうげんはだいたものを無理むりようとはしなかつた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よし/\と云いながら紙へくるんで腹帯はらおびあいだはさんで、時節を待ち、真実なおいさと夫婦になろうと思うも道理、二十三の水の出花でばなであります。
たいなくとも玉味噌たまみその豆腐汁、心同志どし安らかに団坐まどいして食ううまさ、あるい山茶やまちゃ一時いっとき出花でばなに、長き夜の徒然つれづれを慰めて囲いぐりの、皮むいてやる一顆いっかのなさけ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
年はみんな十七か八ぐれえの水の出花でばなってえ奴でしたが、最初っからの固いお布告ふれで、そんな女たちに指一本でも指したら最後のすけ、お給金が貰えねえばかりでなく
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「合点長屋の親分でげすかえ。ま、ちょっくら上って一杯出花でばなを啜っていらっしゃい。」
川に落ちて水を飲んだ上に、汗の出花でばなを冷えたのが悪かったそうだ。森川さんは、日に二遍も見に来て呉れる。親切な人だ。此間赤んべいなんかしなければよかった。しかしお春はふとあまだ。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
けれどもその頃は自分がまた思い返して、位置の運動を始め出した出花でばななので、自然その方にばかり頭を専領される日が多いため、これより以上立ち入って何物をも探る事をあえてしなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お庄は店頭みせさきへ出してくれた出花でばなも飲まずにまた俥に乗った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
出花でばなを入れ替えてまいりました、さあどうぞ……」
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)