)” の例文
お延は堀のうちを見るたびに、自分と家との間に存在する不調和を感じた。家へいってからもその距離を思い出す事がしばしばあった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
助「馬喰町ばくろちょうにも知った者は有るが、うちを忘れたから、春見様が丁度彼所あすこに宿屋を出して居るから、今着いて荷を預けて湯にいりに来た」
同じカステラのようなものでも珈琲にはバターのいらないのを出しますし、紅茶にはバター入りのケーキを出します。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ぼくはおきぬなしをむいて、ぼくひとりいつてる浴室よくしつに、そつともつれたことをおもひ、二人ふたり溪流けいりう沿ふて散歩さんぽしたことをおもひ、そのやさしい言葉ことばおもひ、その無邪氣むじやき態度たいどおもひ、その笑顏ゑがほおも
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
力まかせに空を蹴る 月を蹴る 月は 山の端にいる
(旧字旧仮名) / 三好達治(著)
「病院というほどの病院じゃないが、診察所の二階がいてるもんだから、そこへいる事もできるようになってるんだ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると路地をいって、溝板どぶいたの上を抜け足で渡って来る駒下駄こまげたの音がして又作の前に立ち止り、小声で
突然こんなうちいられて見ると、何でもない所だけに、かえって案外の感に打たれざるを得なかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先々月の二日清水の旦那が此方こちらへお泊りなすって、荷物をお預け申して湯にいるって錨床へらしったところが、わっちが上州を廻っている時分御厄介になった清水の旦那だから
お由は半纏羽織はんてんばおりを脱いで袖畳みにして居りますと、表の格子戸をガラリッと明けていってまいりました男は、太織ふとおりというと体裁がうございますが、年数を喰って細織になった
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ことによると君の病院へいっているうちかも知れない」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此方こっちでも止しましょう、憚りながら零落しても岩村玄石だ、先年売込んだ名前があるから秘術鍼治しんじの看板をけさいすれば、五両や十両の金は瞬間またゝくまいって来るのは知れているが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
由「大変ていへんだ、まるで病人の始末だねえ、あゝ腰がすくんであるけませんが……やア大層ていそう立派なうちだが……おかしい、坂下から這入るとまるで二階下で、往来からすぐに二階へいる家は妙で、手摺が付いてある……」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)