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入水
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じゅすい
ふりがな文庫
“
入水
(
じゅすい
)” の例文
それにしても越前屋の亭主が鯉を釣り損じて川に落ちたなどという出たらめをなぜ云ったのか。そうして、自分がなぜ
入水
(
じゅすい
)
したのか。
半七捕物帳:44 むらさき鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
建礼門院は、主上の御
入水
(
じゅすい
)
を見届けると、今はこれまでと覚悟して、
硯
(
すずり
)
と
温石
(
おんじゃく
)
を左右の懐に入れると、そのまま海に身を躍らせた。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
十組みのうち八組みまでは大川へ
入水
(
じゅすい
)
して、はかなくも美しい思いを遂げるものがあるところから、これを見張るための川目付であるが
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
姉妹
(
きょうだい
)
間に殺傷が行われて、姉の姿が見えなくて妹も
入水
(
じゅすい
)
したらしいという風評を耳にした刑事や巡査の一隊が東水の尾へ登って来たのは
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
筑後の山川村の滝の淵という所では、昔平家方のある一人の姫君が、
入水
(
じゅすい
)
してこの淵の主となり、今でも住んでおられる。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
石浦に往ったものは、安寿の
入水
(
じゅすい
)
のことを聞いて来た。南の方へ往ったものは、三郎の率いた討手が田辺まで往って引き返したことを聞いて来た。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
入水
(
じゅすい
)
を企てたり、尼となって世を避けたりするのは、人間として贅沢な沙汰であるが、そういう贅沢を享楽し得られる女性が、浮世に幾人あることやら。
軽井沢にて
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
先立つ不孝は済まぬ事ではございますが、どうもお父さんの前へ面目なくってお顔が合わせられませんから、お父さんに先立って今晩
入水
(
じゅすい
)
致し相果てます
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まる一昼夜、心当りを探し抜いた
挙句
(
あげく
)
、思案に余って両国から、フラフラと
入水
(
じゅすい
)
しようとしたのでございます
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「不審だな。一番上の姉のお里は、同藩の市岡
氏
(
うじ
)
へ、嫁ぐ約束になった時、それを嫌って
入水
(
じゅすい
)
したのだから」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自害往生、焼身往生、
入水
(
じゅすい
)
往生、断食往生等はその門徒に於ても誡め置かれたことであり、余人の行うべき行ではないが、信心の力の奇特は思い見るべきである。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
女は、この帯はお店のお友達から借りている帯やから、と言って、帯をほどき、畳んで岩の上に置き、自分もマントを脱ぎ、同じ所に置いて、一緒に
入水
(
じゅすい
)
しました。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
舞台は
相
(
あい
)
愛する男女の
入水
(
じゅすい
)
と共に廻って、女の方が
白魚舟
(
しらうおぶね
)
の
夜網
(
よあみ
)
にかかって助けられる処になる。再び元の舞台に返って、男も同じく死ぬ事が出来なくて石垣の上に
這
(
は
)
い
上
(
あが
)
る。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
縊死
(
いし
)
や
入水
(
じゅすい
)
さえ心に描かずにはいられないような悔恨を、もし運命が送ったら! おお、彼はそれをいかばかり喜んだかしれない! 苦痛と涙も要するにやはり生活ではないか。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ただ自分は
入水
(
じゅすい
)
する決心をして身を投げに行ったということが意識に上ってきた。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
国府津
(
こうづ
)
の海に
入水
(
じゅすい
)
したほど、「恋」に全霊的であり、彼女は事業も名誉も第二義的のもので、恋を生命としていたものは、それに破れれば現世に生きる意義を見出せないとまでいっている。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お静への
打擲
(
ちょうちゃく
)
折檻
(
せっかん
)
はむろんのことににらんだとおりで、今までも近所かいわいに評判なほどでしたが、ことに浪人者の不審なる
入水
(
じゅすい
)
以後は
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そこで滝口入道にも逢い、維盛の出家の様子、
入水
(
じゅすい
)
前後の模様などを詳しく聞いた後、父と同じ道を熊野へと向った。
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
他愛もない痴話喧嘩の果てに、思いもつかない殺人罪を犯したので、かれもおどろいて
入水
(
じゅすい
)
したのではあるまいか。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
清左衞門は実に
呆然
(
ぼんやり
)
して、娘は
盗賊
(
どろぼう
)
の汚名を受けこれを恥かしいと心得て
入水
(
じゅすい
)
致した上は最早世に
楽
(
たのし
)
みはないと
遺書
(
かきおき
)
を
認
(
したゝ
)
め、
家主
(
いえぬし
)
へ重ね/″\の礼状でございます
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おのれのスパルタを汚すよりは、
錨
(
いかり
)
をからだに巻きつけて
入水
(
じゅすい
)
したいものだとさえ思っている。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お豊は、言葉をはさんで、和歌山の大家の娘が
入水
(
じゅすい
)
したという怪談を打消そうとしたのでした。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、いずれにせよ、話を聞きながら、その時私は、青年の姉が
入水
(
じゅすい
)
した池が、昔仕置き場があったり、僧が怪死したりした、その同じ因縁の池だということには、
頓
(
とん
)
と気づかなかったのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「なに、
入水
(
じゅすい
)
する?」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むろん自身はこっそりとそのまま泳ぎ帰って、さもそれを
入水
(
じゅすい
)
行くえ不明なるがごとくに、妻女の口から近所かいわいに言い触れさせたのでありました。
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
新次郎は別に怪我もなかったが、お節が刃物をたずさえて狂い出したのを見れば、彼女が夫の久兵衛を殺害して、自分も
入水
(
じゅすい
)
したものと認めるのほかは無い。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
有夫の婦人と情死を図ったのである。私、二十二歳。女、十九歳。
師走
(
しわす
)
、酷寒の夜半、女はコオトを着たまま、私もマントを脱がずに、
入水
(
じゅすい
)
した。女は、死んだ。告白する。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
源三位頼政
(
げんざんみよりまさ
)
の
後裔
(
こうえい
)
もここに落ちて来た。熊野で
入水
(
じゅすい
)
したという
平維盛
(
たいらのこれもり
)
もこの地へ落ちて来た。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
如何
(
いか
)
にも残念だから
入水
(
じゅすい
)
してお村を
取殺
(
とりころ
)
すなどと
狂気
(
きちがい
)
じみたことを申し……それはまア
怪
(
け
)
しからぬこと、音に聞えたる大伴の先生故、町人を打ち打擲などをすることはない
筈
(
はず
)
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それにしても、
池
(
いけの
)
大納言のように、頼朝を頼って都に行ったとばかり思い、宗盛卿、二位殿まで、何かと隔て心をお見せになっていたのだが、まさか、熊野でご
入水
(
じゅすい
)
とは知らなかった。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
駒形河岸裏の
侠客
(
きょうかく
)
出石屋
(
いずしや
)
四郎兵衛が、日ごと夜ごとのようにこの大川筋で
入水
(
じゅすい
)
する不了簡者達を戒めるためと
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「殿のおたずねじゃ。つつまず言え。おのれ
入水
(
じゅすい
)
の覚悟であろうが……」と、下部は叱るように言った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あの時の若い男女は、心中の方式については全く無知識であったこと、
入水
(
じゅすい
)
をするにしても、どういう方法を取るのが最も安全で、且つ見事であったか、それを知らなかった。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今朝程万年橋の上に重三郎の衣類脇差印籠などが取捨てゝございまして、行方が知れませんから、重三郎は大切な御刀を取られて申し訳なく、万年から
入水
(
じゅすい
)
したものと見えます
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いちどは薬品で失敗した。いちどは
入水
(
じゅすい
)
して失敗した。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
維盛
入水
(
じゅすい
)
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
女持ちのこのふた品じゃ、かような品が浮いているからには、昨夜のうちに
入水
(
じゅすい
)
した女があったに相違ない。
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
前後の事情からかんがえると、今度の縁談に対する怨みと妬みとで、梅と桜とが主人を殺して、かれら自身も一緒に
入水
(
じゅすい
)
して果てたものと認めるのほかはなかった。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは、二人が完全に、湖中に
入水
(
じゅすい
)
を遂げたと知ったその日に、二人の供養があの臨湖の湖畔で営まれたこと、そうして、この供養の
施主
(
せしゅ
)
というのが、疑問の一人の女性であったということです。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
近所の海岸から
入水
(
じゅすい
)
するか、山や森へ入り込んで劇薬自殺を企てるたぐいは、旅館に迷惑をあたえる程度も比較的に軽いが、自分たちの座敷を舞台に使用されると
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
入水
(
じゅすい
)
投身なぞ、つまらぬ了見起こせしとも思われず、なにゆえの家出かただただ心労にたえず候。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「いずれも懐中にさしている品ばかりじゃ。このようなところへ捨てる道理がない。
入水
(
じゅすい
)
いたした者の懐中から抜けて浮きあがったものに相違ないぞ。土手に足跡でもないか」
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
さうして、それは
彼
(
か
)
の梟娘が
蛇体
(
じゃたい
)
に変じたのであらうと伝へられた。
併
(
しか
)
し彼女は最初からの蛇体であるのか、あるひは
入水
(
じゅすい
)
の
後
(
のち
)
に
龍蛇
(
りゅうだ
)
と変じたのか、その議論は
区々
(
まちまち
)
で
遂
(
つい
)
に決着しなかつた。
梟娘の話
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
入水
(
じゅすい
)
の者はこの水底に沈んでおると見るはおしろうと考え、あのとおり水門から今もなおこちらへ濠水が流れ込んでおりますからには、このふた品もまた上から流れてきたものかもしれませぬ。
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
橋の袂には血に染みた鎌が捨ててあったばかりでなく、お園の
袷
(
あわせ
)
と襦袢の袖にも血のあとがにじんでいるのを見ると、かれはまず伊八を殺害し、それからここへ来て
入水
(
じゅすい
)
したものと察せられた。
真鬼偽鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
入水
(
じゅすい
)
するときけがでもしたか、顔は一面の傷だらけで、娘かどうか、ちょっと見ただけでは見分けもつかないくらいでしたが、着物のがらも娘のものだし、年ごろも十七、八でござりましたし
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
次の問題はお北がどうして
入水
(
じゅすい
)
したかと云うことである。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あなたさまが深川で
入水
(
じゅすい
)
女の替え玉を使ったことも、次郎松に
金襴
(
きんらん
)
仕立ての守りきんちゃくを贈ったことも、てまえにはちゃんともうわかっているんでござりまするからな、手間を取らせずに
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
入
常用漢字
小1
部首:⼊
2画
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
“入水”で始まる語句
入水死
入水者
入水平戚