使番つかいばん)” の例文
また、どこの使者か、どこから帰って来た使番つかいばんか、寺中と外との往来も頻繁だった。その中には、どこかで見覚えのある武士もあって
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
席を捜したが三之丞がいない、すぐに詰所を見にやると、非番に当っているというので先刻もう下城したという、慌てて使番つかいばんが馬を飛ばして迎えにいった。
備前名弓伝 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
此方こちらからはお使番つかいばんが馬に乗って駆けて来る。仕事師はまといを振りかぎをかついで威勢く繰出してまいる騒ぎに、二人はまご/\しながら漸く逃出しましたが、き所がありません。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……自分はお納戸なんど向きのお使番つかいばん馬廻うままわりの家柄……らざる事にかかり合うまい……。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
使番つかいばん大番頭五百石多賀一学などが暇乞いとまごいをして匇々そうそうに退散した。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「いかに早足はやあしなお使番つかいばんでも、夕方からただいままでに、ここへ着くともうすのはふしぎなしだい。そして、御書ごしょ内容ないようは?」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
の方は元お使番つかいばんを勤めた櫻井監物の家来で、柳田典藏と仰しゃる大した者、今は桑名川村へ来て手習てなれえの師匠で医者をしてそれで売卜うらないをする三点張さんてんばりで、立派なうちに這入って居て
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
百石取の安馬廻うままわりの家を相続しているにはいたが、お納戸なんど向きのお使番つかいばんという小忙こぜわしい役目にわれて、道中ばかりしていたので、桝小屋ますごやの小さな屋敷も金作という知行所ちぎょうしょ出の若党と
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
曽我十兵衛は二百五十石の使番つかいばんで、去年の六月、国目付として津軽へ赴任した。
あだこ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「おお、それでよくわかりました。ではおまえは、お使番つかいばんになってこのたちへ、家康いえやすさまの手紙を持ってきたのですね」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
希望はすでにれられたので、彼も至って素直だった。勝家は直ちに使番つかいばんを呼び、各陣地の主将をこれへ集合した。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いくさ奉行の長崎悪四郎ノじょう高真たかざねは、おもてにしゅをそそいで、どこかの使番つかいばんの武士へ、どなりつけていた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の要害がものをいうので、所詮、急にこれを陥すことは不可能に近い、と使番つかいばんのつぶさな報告であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは名誉めいよなお使番つかいばん、クロを飼いならしていらい、わしにのってお使つかいをするものは、とんぼぐみほまれとしてありますので、わたしはほんとにうれしゅうございました
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よしよし。助けとらせる。……何も、成政とて、決して、悪い人間ではないからの。殊には、父信長も、黄母衣きほろの一使番つかいばんから取りたてて、ずいぶん目をかけてきた男じゃ」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戞々かつかつと、外国奉行の使番つかいばんが、馬蹄ばていを飛ばせてゆく、何事か、早打駕はやうちが、三挺もつながって行った。——菊は栄えるあおいは枯れる——の流行歌はやりうたをうたった子供の親が自身番へしょッかれて行く。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『とうとう来たっ。お目附めつけ、荒木十左衛門殿、お使番つかいばん久永内記、御両所の検死。ほかお徒士かち目附七人、お小人こびと目附六人を従えて、たった今、未上刻ひつじのじょうこく(午後二時)御来邸、役者の間へ通った!』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこへ見えたは、いずれの隊か。この方は、お使番つかいばん中川金右衛門」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあいだに、使番つかいばん
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)