五月蠅うるさい)” の例文
男教員の述懐、女教員の蔭口、其他時間割と月給とに関する五月蠅うるさいほどのねたみと争ひとは、是処こゝに居て手に取るやうに解るのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わしも考えたのだよ。いくら何だと言っても、二十五六も違うのだろう。世間が五月蠅うるさいからね。ただでさえ『成金! 成金!』と、いやなまなこで見られているんだろう。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
此方こっちはその『アイドル』の顔が視たいばかりで、気まりの悪いのもこらえて毎日々々その家へ遊びに往けば、先方さきじゃ五月蠅うるさいと云ッたような顔をして口も碌々ろくろくきかない
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「それに親方も源公もいずれ江戸の地にはいるんだからな、あんまり暢気のんきに出歩いていて目付けられると五月蠅うるさいぜ。何しろ源公ときたひにゃア、未だにお前に夢中なんだからな」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
同時に叔父の待合入りをピッタリと差し止めたので、私はその当時、八方の待合からかかって来る電話を聞かされてウンザリさせられたものであった。あんまり五月蠅うるさいので或るとき
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
五月蠅うるさいね』とつて公爵夫人こうしやくふじんは、『そんなことかまつてはられない!』そこ夫人ふじんふたゝ其子供そのこどもちゝませはじめました、一しゆ子守歌こもりうたうたひながら、一ふしへるとは其子そのこゆすげて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
種彦を先に種員と仙果は雷門を這入はいって足早に立並ぶ数珠屋じゅずやの店先を通過とおりす二十軒茶屋にじっけんぢゃやの前を歩いて行ったが、いつも五月蠅うるさいほどに客を呼ぶ女どもはやがて仁王門を這入った楊子店ようじみせも同じ事で
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「だって人の口は五月蠅うるさいじゃありませんか」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いや、それだがね、わしも考へたのだよ。いくら何だと言つても、二十五六も違ふのだらう。世間が五月蠅うるさいからね。只でさへ『成金! 成金!』と、いやなまなこで見られてゐるんだらう。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
船員なんてな泥棒みたいな奴ばかりだからね……そのかばんは寝台の下にブチ込んでおき給え。ウン。鍵を掛けて封印して在るね。それなら大丈夫だ。中味の麻雀が船員に見付かると五月蠅うるさいからね。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ハアイ……チョッ五月蠅うるさいこと」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「ウン。人目に付くと五月蠅うるさいからね」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)