不行屆ふゆきとゞき)” の例文
新字:不行届
「いや/\、飛んだお手數で、何んとも申譯のないことでございます、この通りの病人ですが、万事は私の不行屆ふゆきとゞきからでございます」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
こば贋者にせものと申立たしかなる證據もなく再吟味さいぎんみ願ひ出るは拙者どもが調べを不行屆ふゆきとゞきと申にや何分にも重役どもを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御世話おせわどころか、萬事ばんじ不行屆ふゆきとゞきさぞ御窮屈ごきゆうくつ御座ございましたらう。しか是程これほど御坐おすわりになつても大分だいぶちがひます。わざ/\御出おいでになつただけこと充分じゆうぶん御座ございます」とつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
揚げお年若には給はで事理明瞭あきらかなる今のお言葉御尤にてかへす可きこととても候はず然ども今將いまは貴君あなた樣が旦那樣御夫婦におほせられてはお家のさわたゞなに事も忠兵衞が不行屆ふゆきとゞきおこりし事ゆゑ一度は斷り候えども如何樣とも爲し彼娘の病氣の有無を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つけられしかども一旦中山殿奉行所にて裁許さいきよの有りし事件ことがらなれば何と無く斟酌しんしやく有て暫時しばらくかんがへ居られしが又猶申さるゝは其折道十郎なる者吟味づめに相成りしわけには之なく牢死らうししたる故其儘に成りをりしなり存生ぞんしやうならば外に吟味の致し方も有りしならんしかるに只今の一言奉行所の不行屆ふゆきとゞきの樣に上の御政度せいど
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)