“てだて”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
手段72.2%
方便6.5%
方法4.6%
手策3.7%
手立2.8%
手術2.8%
2.8%
1.9%
手便0.9%
方術0.9%
詮方0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かう見たところ、家の中には、私を狙ふほどの者が居さうも無いのに、私は毎日、何んか變つた手段てだてで、脅かされて居るのでございます。
何の顏さげて人にいはれん然れば其時ぬるより外に方便てだても無き身なればおそかれ早かれ死ぬ此身とても死ぬなら今日只今長庵方へ押掛ゆきいのち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
父はまた添付つけたして、世に出て身を立てる穢多の子の秘訣——唯一つの希望のぞみ、唯一つの方法てだて、それは身の素性を隠すより外に無い
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いわれは、久しく切所せっしょ引籠ひきこもって行蔵こうぞうをつつみ、手策てだてのなかりし柴田めも、いまみずから牢砦ろうさいを出で、勝ちにおごって遠く陣を張れるは、まさに、勝家が運の尽きよ。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらば又と来ざらんやうに逐払おひはらふべき手立てだてのありやと責むるに、害をすにもあらねば、宿無犬やどなしいぬの寝たると想ひてこころかくるなとのみ。こころくまじき如きをことさらに夫には学ばじ、と彼は腹立はらだたしく思へり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
茶めし餡掛あんかけ、一品料理、一番高い中空の赤行燈あかあんどうは、牛鍋の看板で、一山三銭二銭にひさぐ。蜜柑みかん林檎りんごの水菓子屋が負けじと立てた高張たかはりも、人の目に着く手術てだてであろう。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
てだてを尽くして防ぎ止めんとせしかいもなく、目には見えねど浪子の病はひびに募りて、三月の初旬はじめには、疑うべくもあらぬ肺結核の初期に入りぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
といつも軍人ぶりのこと葉つきあらあらしきに似ぬやさしさに、兼ねてといはむかく答へむとおもひしてだて、胸にたたみたるままにてえもめぐらさず、ただ心のみ弱うなりてやみぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
見するも過世すぐせ因縁いんえんなるか不便の者をとかこちしが我から心を鬼になし道途だうとに迷ふ親の身をたすかる手便てだては此乳子ちごを捨るより外に思案なしと我が子の寢顏ねがほを打ながめ涙ながらに心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ゆえに、火攻めの計を用うるには、まずその前に方術てだてをめぐらし、曹軍の兵船をのこらず一つ所にあつめて、くさりをもってこれを封縛ふうばくせしめる必要がある
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かく詮方てだてありと皆々に物語る處へ取次戸村とむら馳來はせきたり只今町奉行方より平石次右衞門使者ししやに參り口上の趣きには天一坊樣御歸り後大岡氣脱きぬけいたし候や癪氣しやくきさし起り候に付今日より引籠ひきこもり候との由なりと云ふに山内是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)