𨵙げき)” の例文
磨き出したような十日月が涓々けんけんと湖上に照り、風は蘆荻ろてきを吹いて長葉を揺らめかす。四辺𨵙げきとして、聞えるものはオールの音のみ。陶は艇首に坐り、首を垂れて一言も言わぬ。俺も言わぬ。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)