おおいと呼べばおうと答えて渡守わたしもりが舟を出す位だが、東側はただもう山と畠で持切って、それから向うへは波の上一里半、麻生天王崎あそうてんのうさき大松おおまつも、女扇おんなおうぎの絵に子日ねのひの松位にしか見えない。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)