供一人をれて国老の屋敷を訪れたのは、それから半刻はんときほど後のことであった……すぐ客間のほうへとおされたが、それと入違いに、目付役の鳴海大九郎なるみだいくろうが辞去して行った。
夜明けの辻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)