画料数百貫をあまし得て、駿馬一頭を伯楽し、それに馭して以て房州の海に帰り候はば欣快至極と存じ候へ共、これは当になり申さず、但し画嚢ぐわなうの方は、騰驤磊落とうじやうらいらく三万匹を以て満たされ居り候へば
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)