けれども、一方五分あまりも積み重なっている埃の層が、かえって、その調査を容易に進行させてくれた。最初眼に止ったのは、壜栓びんせんの外れた青酸加里シヤンニック・ポッタシウムであった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)