それより奥の方、甲斐境かいざかい信濃境の高き嶺々重なりそびえてそらの末をば限りたるは、雁坂十文字かりさかじゅうもんじなど名さえすさまじく呼ぶものなるべし。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)