金釘流かなくぎりう)” の例文
「手紙が來たんだらう、恐ろしい金釘流かなくぎりうで、——兩國の蟹澤かにざはのお銀が死んだのは唯事ぢやねえ。とむらひの濟まぬうち、檢屍を頼む——とう書いてある筈だ」
手代の幸吉は職業的な器用な字で封筒の稚拙味ちせつみは眞似てもできさうもなく、娘の幾代の假名文字の美しさも、下女のお道の金釘流かなくぎりうも、小僧の鶴吉のたど/\しい筆跡も
「死んだ納は手の良いのが自慢でした。あとは、手代の伊三郎くらゐのもので、家内と來ては、全く金釘流かなくぎりうで、お梅も大したことはありません。奉公人達は一文不通、自分の名前へ書けないのばかり揃つて居ります」
「ありますよ、金釘流かなくぎりうで三枚半と」