あわただ)” の例文
しかし、今日の生活はあわただしく、変化が激しく、混んだ電車一つに乗るにしても、実際には昔風の躾とちがった事情がおこって来ています。
新しい躾 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それきり電話もかからず、何となしあわただしい気分が分るようだ。気分と云えば、このひとの字のくずれかたはひどくてすこしおどろく、この頃。
荒川堤へ行ったのはよかったが、昼から雨になって、みんな裾をはしょって、手拭を帯の上へかけてあわただしく帰った。
三月の第四日曜 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
女たちの瞳の中に複雑な警戒の色があらわれ、同時に、どっさりの若い娘たちが、機会を失うのをおそれるようなあわただしさで、入りこんで来た男たちの妻となった。
播州平野 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
云って見れば、一九三二年来のあわただしい生活が急転したのだから、気分が落付き、こういう事情の中で着々仕事をしてゆけるようになるには一ヵ月や一ヵ月半はかかろう。
そこには緊張してあわただしい仕度の空気が漲っていた。米屋の商売も、全くこれ迄とはちがったものになりかかっている最中のことだから、出る前の話もいろいろと心を砕くわけだろう。
今日の耳目 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ともかくこの手紙は何かあわただしく半端ですが、これだけにして送り出します。『辞苑』辞書としていいであろうと思うがいかがでしょうか。すぐ又書きます。林町の皆からもよろしく。
やっとさっき風呂に入り、さっぱりと髪を洗い、十三日の朝引越しさわぎの間であわただしく立ちよみして来た二つの手紙をよみなおし、この家ではじめて書くものとしてこの手紙を書いているわけです。