九段くだんの坂下の近角常観ちかずみじょうかんの説教所はとは藤本というこの辺での落語席であった。或る晩、誰だかの落語を聴きに行くと、背後うしろで割れるような笑い声がした。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)