それでも内蔵造くらづくりうちが狭い町内に三四軒はあったろう。坂をあがると、右側に見える近江屋伝兵衛おうみやでんべえという薬種屋やくしゅやなどはその一つであった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)