迂遠うと)” の例文
迂遠うといな。御家中で知らぬものはない位な話だぞ。——あの相木熊楠という男は、以前、東郷五郎左衛門に就いて北条流の軍学を学んでいたことがある』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべてに気がつく癖に、こうなるとかえって僕よりも迂遠うとい母はどうだか、僕はその場で叔母の口から、僕と千代子と永久に手を別つべき談判の第一節を予期していたのである。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)