襟飾りブローチ)” の例文
やっと窓をあけると投げこんだのは、いつも胸につけている大きな銀の襟飾りブローチです。髪をなびかせながら大声に何か、叫んでるようでしたがそれはもう、聞こえません。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
銀の襟飾りブローチだけは……あのスパセニアが、自動車の窓から投げ込んだ銀の襟飾りブローチだけは、前の青葉通りのお濠端ほりばたへ飛び出して、青くよどんだ濠の中へ投げ込んでしまいました。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
私は襟飾りブローチを拾い上げて、やっと座席に座り直しましたが、これが二人との別れだったのです。眼を閉じると今でも手をふって、別れを惜しんでいたジーナの姿が、ありありとうかんできます。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)