ただちょっと面白かったことには「な」の字さんは東京へ帰ったのち、差出し人萩野半之丞はぎのはんのじょうの小包みを一つ受けとりました。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なんでも明治三十年代に萩野半之丞はぎのはんのじょうと言う大工だいくが一人、この町の山寄やまよりに住んでいました。萩野半之丞と言う名前だけ聞けば、いかなる優男やさおとこかと思うかも知れません。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)