能くものを容るゝ批評は、其標準の完美なること想ふに堪へたり。劉海峰りうかいほうのいはく。居高以臨下たかきにをりてもつてしたをのぞめば不至於爭あらそふにいたらず爲其不足與我角也そのわれとくらぶるにたらざるためなり至於才力之均敵さいりよくのてきとひとしきにいたりて而惟恐其不能相勝たゞそのあひまさるあたはざるをおそれ於是紛紜之辨以生こゝにおいてふんうんのべんもつてしやうず是故知道者このゆゑにみちをしるものは
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)