門外の御弟子みでし聖信房湛空しょうしんぼうたんくうは、たまたまその夜、吉水禅房の一間ひとまに泊ったのであるが、夜もすがら花頂山のいただきから吹きおろす風や、三十六峰の樹々の音や、戸を洩る針のような寒さに
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)