あきれ果てている白雲も、玉蕉女史も、事の仔細は紛糾交錯ふんきゅうこうさくして何だかわからないが、そう言われてみると、自分たちは、たしかに岸を離れること遠きに過ぎたという感じだけは取戻しました。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)