おなじ紀州田辺の糸川恒太夫いとかわこうだゆうという老人、中年まで毎度野諸村を行商した、秋の末らしい……一夜、新鹿村のみなとに宿る、この湊の川上に浅谷とたとうるのがある、それと並んで二木嶋、片村
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)