空也餅くうやもち)” の例文
「ええその欠けたところに空也餅くうやもちがくっ付いていましてね」と迷亭はこの質問こそ吾縄張内なわばりうちだと急に浮かれ出す。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この小説では前歯の欠けた跡に空也餅くうやもちが引っかかっていたことになっているが、そのころ先生のお宅の菓子鉢かしばちの中にしばしばこの餅が収まっていたものらしい。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「驚いた驚いた、こんな苦しいことはねえ、こっちが凄味をつけてやっていても、肝腎のところでどっと来るのだからやり切れねえ、もう怪談は懲り懲りだ」と空也餅くうやもちをやけに頬張る。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
「みんな去年の暮は暗合あんごうで妙ですな」と寒月が笑う。欠けた前歯のうちに空也餅くうやもちが着いている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
主人はまたやられたと思いながら何も云わずに空也餅くうやもち頬張ほおばって口をもごもご云わしている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)