相背馳あいはいち)” の例文
つまり己の性格のうちには、互に相背馳あいはいちした二つの要素が備わって居たのだ。一面に於いて空想家であった己は、他の一面に於いて常識家であった事は争われない。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一言すれば二葉亭は能く外国思想に熟していたが、同時にやはり幼時から染込んだ東洋思想を全く擺脱はいだつする事が出来ないで、この相背馳あいはいちした二つの思想の蹚着とうちゃくが常に頭脳に絶えなかったであろう。
この二人はどうもとても性質が相背馳あいはいちしているようだからね。