と同時にまた別荘番が一言いちごんもこの客来きゃくらいを取次がないのも不審だった。しかしその男は私の冷淡な言葉にもめげないで、もう一度額を畳につけると、相不変朗読あいかわらずろうどくでもしそうな調子で
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)