為合しあは)” の例文
旧字:爲合
己を為合しあはせだと云つて褒めて、それを自分の老衰に較べた。その口吻こうふんが特別に不満らしかつた。己は気を着けて聞いてはゐない。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
詰まり両親の言ふ事を聞いてゐた間が、為合しあはせだつたのです。それをしなくなつた時、為合せといふものが無くなつたのです。
「さうでしたか。わたくしにはちつとも聞えませんでした。為合しあはせに耳が遠いものですから。耳の遠いなんぞも時々は為合せになることもありますよ」
併しこんなに為合しあはせな要約が旨く出合つてゐるといふ以上はもうそろ/\均衡が破れさうになつてゐはしないか。
クサンチス (新字旧仮名) / アルベール・サマン(著)
為合しあはせな事には、丁度モスコエストロオムの潮流と反対した潮流に這入りました。
うづしほ (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
「難有い為合しあはせだ」と、水兵は答へた。
(新字旧仮名) / ジュール・クラルテ(著)
為合しあはせな事には、わたくし共がふいと崖の所にボオトが一艘繋いであるのに気が付きました。そこで皆言ひ合せたやうに足を駐めたのです。
こんな悲しい身の上になつてゐるのですから、大事な方のために尽して上げることが出来れば、それが慰めにもなりませう。あなたが唯お友達になつて下されば、わたくしどんなにか為合しあはせでせう。
不可説 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
最初ワシリは部落の自治団体から小屋を一つ、牡牛を一疋貰つて、その年に燕麦からすむぎの種を六ポンド貰つた。為合しあはせとその年は燕麦の収穫が好かつた。