渡御わたり)” の例文
渡御わたりに出て、すっかり疲れ切っていたが、しかし、他吉は夜が明けて路地の空地で行われる朝のラジオ体操も休まなかった。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
そんな君枝の心は、しかし他吉は与り知らず、七月九日の生国魂いくたま神社の夏祭には、天婦羅屋の種吉といっしょに、お渡御わたりの人足に雇われて行くのである。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
思わず呟いた自分の言葉に気の遠くなるほど甘くしびれたが、途端にお渡御わたりの太鼓の音が耳に痛くきこえて来た。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
そんな君枝の心は、しかし他吉は与り知らず、七月九日の生国魂いくたま神社の夏祭には、お渡御わたりの人足に雇われて行くのである。重い鎧を着ると、三十銭上りの二円五十銭の日当だ。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
げんにその日も——丁度その日は生国魂いくたま神社の夏祭で、表通りをお渡御わたりが通るらしく、枕太鼓の音や獅子舞の囃子の音が聴え、他所の子は皆一張羅の晴着を着せてもらい、お渡御わたりを見に行ったり
道なき道 (新字新仮名) / 織田作之助(著)