あの虎を張り殺した武松ぶしやうにしびれ酒をのませ、母夜叉孫二娘ぼやしやそんじじやう——孟洲のみちの、大樹林の十字波の酒店で、頭には鐵環をはめ、鬢には野花をさした美しい女が、人肉の肉包を賣つてゐたり
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)