武蔵太郎に殺剣乱跳さつけんらんちょうを舞わせる諏訪栄三郎、ツゥ……ツと刀をさげて下段のかまえ、取り巻く自余の者へは眼もくれずに前面の豪敵山東平七郎をめざして血のにじむ気あいを振りしぼった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)