残飯ざんぱん)” の例文
そのかわりに、墓地の下の日蔭で、手づかみで、めんつうの残飯ざんぱんを食べていた一人の女乞食は、その背に、一本の小柄を突きとおされて、血を吐いて、死んでいた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戦争の残飯ざんぱんをあさる人たちも多いなかへ、生きのこった兵隊が毎日のようにもどってきた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
これに日々わずかの残飯ざんぱんを与えているという理由だけにて、まったくこの猛獣に心をゆるし、エスやエスやなど、気楽に呼んで、さながら家族の一員のごとく身辺に近づかしめ